まねき屋の張子blog

まねき屋の張子作業に関するblogです
ぼちぼちと更新して行きます
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馬の修理 その5

さていよいよパーツの組み合わせ、取り付けだ。

まずは後ろ脚を。
胴体のボール紙に竹の骨を通す穴を開ける。


そこに竹の骨を通す。



その際、竹の骨の削って先端が胴体の天井に
丁度接触する様に長さを調整する。


木工用ボンドで先端を接着し
更に内貼り紙で頑強に固定する。

こうすれば竹骨と、
体全体で荷重を支える事になるので
もうそうそう壊れる事態にはならない筈だ。

もう一方の脚も同じく接合。


右前脚、左前脚も同様に接合。


取り敢えず脚の取り付けは完成。

ちゃんと自立出来ている。
良かった良かった♪

首も同様にして接合。


パーツを分解した際に歪みが生じた為に
取り付け各部には隙間が出来てしまっていた。



その部分には糊で湿らせた和紙を埋め込み
更に和紙を貼り、段差を無くす。




その上に墨を塗った和紙を貼り、継ぎ目を目立たなくさせた。



それを全ての隙間に施し、取り付けは完成。

いやぁ、やっと完成したなぁ・・・・・・シミジミ

当方の作業は此処まで。
数日後、人形屋の好洋さんに引き渡した。
暫くして完成したとの連絡を頂き、
好洋さんのお店に伺うと、この状態に。

とても立派な姿になっていた。
最初はこんな感じだったのだなぁ。

所で、当方が引き渡した際の画像と
完成後の画像を見ると、首の角度が微妙に違っている。
これは好洋さんの方でより良い角度に調整をして頂いた由。

この馬がへしゃげた際に、
首の角度もちょと変わってしまっていた様なのだが
当時、当方の仕事のスケジュールが迫っていた為に
あまり考えずにそのまま取り付けてしまっていた。
かなり頑丈に取り付けたから
角度を変えるのは相当大変だった筈だ。
首を取り付ける際に、詰めて相談をして置くべきだったなぁ。
反省。

その他にも、今となれば
「あぁやれば良かったかなぁ」と思う所も少なくない。
何よりも竹の骨組みを勝手に組み込み
ボール紙や木工用ボンドなどと言う
製作当時には無かった材料で修復してしまったのだ。
将来の何時の日か、この馬の再修理があった際、修理担当者に
「なんだこのやり方は!?ヘッタクソな修理しやがって!!
 どんな素人がやったんだよ!!」
とボロ糞に言われるかも知れないが、それは仕方無い。
甘んじて受け入れるしか無い。
当方は今の自分の技術で出来る限りの精一杯の事はした積りだ。
これが当方の限界なのだ。

好洋さんで完成後の馬の撮影をしたのが2013年11月の事。
その後、依頼主の飛騨の造り酒屋へ無事に引き渡された由。
明けて2014年の夏。
飛騨に旅行に行った際に、その酒屋を訪ねてみた。
その店は重厚な佇まいの、それこそ古い造り酒屋だった。
残念ながら店先にその馬は無かった。
ひょっとしたら正月には店頭に飾られていたのかも知れないなぁ。
持ち主の元で飾られている姿を
見る事が出来無かったのは残念だったが
きっとこれからも大事に受け継がれて行くのだろう。
その手助けが出来たのだとしたら、とても誇らしい事だ。

とにかく、色々と勉強になったし面白い体験だった。
今後もこう言う作業があったらやってみたいなぁ。
好洋さん、どうも有難う御座居ました。


終り。


【余談】
馬に植えられていた毛(生糸)がかなり風化していた為に
作業していると細かく千切れて周囲に舞い散り
花粉症の様な症状になるわ、肌に付くとチクチクして痒いわで
それだけは難儀しました・・・・・・


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馬の修理 その4

ちょっと間が開いてしまいましたが馬の修理の続きです。

最後に、問題の左前脚。

この馬が何かに押し潰されて破損した際に
その圧力を集中的に受け止めてしまった様で
完全にふにゃふにゃになってしまっている。
前回の修復者も、この左前脚には苦労した様で
針金を通して何とか体裁を取り繕っていたが
それだけでは馬全体を支える事が出来無かった状態。

まずは状況を詳細に確認。

ふにゃふにゃのボロボロだ。
取り敢えず合わせ目部分の貼り合わせから始めよう。

まず、合わせ目部分を露出させる為に植毛部分を剥がす。



紙を貼り重ねた際の糊がすっかり効き目を失い
一枚ずつ剥がれてしまっている。
それが全体に及んでいる。
これを復元するのはかなり難航しそうだ。

とにかく合わせ目を接着してみる。


少し貼り合わせる度に目貼り紙で補強して行く。


紙に元の形がかなり記憶されている様子。
それを丹念に辿って行けば
形の復元は何とかなりそうだ。

紙自体がもけもけになっていて
合わせ目の接着自体もかなり苦心はしたが、
何とか合わせ目全体を接着は成功。



続いて内貼りをして補強する事に。
此処で薄くて長いヘラが登場。

先端に糊を塗った小さな和紙をセット。

それを中に差し込み、内側に押し付けて貼る。


その際、地の紙に記憶されている元の形を尊重しつつ
足の形が整う様に力を調節しながら内貼り紙を押し付けて行く。

数日掛けて内貼りは終了。


後に竹の骨を通す際に固定させる為、
膝関節の部分に補強のボール紙を差し込む。



後に竹串の骨を通すので
予め大き目の穴を開けて置いた。

木工用ボンドで固定した上に内貼り紙で更に固定。

これでかなり強力に固定されたはずだw

植毛部分も元に戻して貼り付ける。


何とか形の復元は出来た模様。


だが、胴体との接合部分はかなり欠損している様子。


その状態で無理矢理修復しようとしていたのも
前回の修復で馬が自立出来無かった最大の要因の様だ。
とにかくこのままでは
良い角度で胴体に取り付ける事は出来無い。
なので、この部分は新たに盛る事に。

欠損部分の補填の土台にするべく、
少し大きな内貼り紙を使用し、
貼り重ねながら外に伸ばして行く。



それを内側に丸め込み
そこに、紙に糊を浸して揉み、
軽く粘土状にした物を盛り付ける。




その上からも何度も紙を貼り、形を整える。


これで胴体との取り付けも何とかなる筈だ。

胴体との固定の補強の為に竹串の骨を通す。



勿論、ひざ関節部分のボール紙も突き通した。

左前脚の修復は完了。
これですべてのパーツが揃った。
さあ、次はいよいよ組立だ。

続く。

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馬の修理 その3

続いて脚の修理を。


胴体との取り付け部をみると
型の継ぎ目である切れ目は目貼りもされずにそのまま。

どうせ接着して見えなくなる部分だから、と
目張りもせずに取り付けていた様子。
まぁ、それも当然ではある、か。


丁度良いので、それを水でふやかして広げ
作業の空間を確保。


と、脚も内部には浮いた紙が。


左右どちら側も似た状況。

生地作りは基本的に下働きや丁稚の仕事だ。
基礎的な作業を繰り返す事によって基本的な技術を体得し、
その後の段階へステップアップして行く訳なのだが
つまりそれは、始めの内は
技術的に未熟な者が作業をしている、と言う事にもなる。
胴体の大きな浮き紙も、それが原因なのかもなぁ。


取り敢えず、補強の為に
胴体と同様に小さく切った和紙を内貼りする。




曲がった関節の先は届かないので
取りあえず可能な範囲まで。



内張りの出来無い部分の補強する為に、
脚の角度に合わせて曲げた竹串を通す。



その上から和紙を貼り、完全に固定。


開いた紙をふやかし、作業孔を閉じる。


どうしても凸凹になってしまうので
和紙を貼って表面を均す。


胴体と貼り合わせる部分は
形を合わせて切ったボール紙で塞ぐ。

江戸時代の張子の修復としては邪道かも知れないが
とにかく頑丈にする事を最優先。

更に、胴体と頑強に固定するための竹串を突き刺して固定。




最初の原本の段階で竹串は通してあったが
それはあくまでも接着作業の補助でしか無く
躯体を支える構造には一切関与していなかった。
この馬は貼り重ねた紙の厚さだけで全体を支えられていた。
元々張子には強度は求められていないのでそれは仕方無い。
ただその為、一度崩壊してしまうと
この馬の様に取り繕う事が出来無い状態になってしまうのだ。

今回、胴体を内張りして補強はしているが
それはあくまでも全体修復の前段階。
当方はこの馬を徹底的に頑丈にしたいので
躯体を支える為の骨格を
丈夫な竹串で作ろうと思っている次第。

ただ、作業坑は限られているので
骨格標本の様な構造を作る訳には行かない。
あくまでも可能な範囲での話。


右前足は特に損傷も無く
躯体を支える構造部分とは無関係だったので
内張りはせずに、ボール紙の蓋と
固定のための竹串を通すだけにした。





 
続いて首の修復を。

首も内張りを実施する事に。

接合部を開くとすぐに突き当たりが。



どうやら頸部と頭部はパーツが別々の様だ。
恐らく頭部も、上あご含む頭蓋骨と下顎で別パーツなのだろう。
あれだけリアルな細工な訳だから
部品を細かく分けて作られているのも当然だわなぁ。

全体に軽く内張り。


開口部を戻して和紙で塞ぐ。



ボール紙の蓋をし、竹串を通す。




これで各パーツは大丈夫かな。
さて次はいよいよ左前脚だ。
これがとにかく難物なんだよなぁ・・・・・・

(続く)

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馬の修理 その2

と言う訳で、とにかくブツは預かった。


江戸時代作の張子に触れられる、
と言う好奇心に抗う事が出来ずに
思わず引き受けてしまったのだが
さて、何処から手を付けた物か。

まずは胴体の補修から始めるとするか。
とにかく全体を丈夫にしないとなぁ。
内側に紙を貼って補強する事にしよう。
だが、それをする為には作業用の穴を開ける必要がある。
と言って、好きに穴を開けられる訳がない。
首と足の接着面だった部分を広げるしかない。



と言って、切って開けてしまうと後々問題になりそうだ。
なので水で湿らせてふやかしてから広げる事にした。


広げてみると中に浮いている紙が。


経年劣化で糊の接着力が落ちたにしては
剥がれ方、浮き方が尋常じゃないので
どうやら、元々紙がちゃんと貼り合わされていなかった模様。
探ってみると、剥がれの部分は奥にも続いていて結構大きい様子。
張子は、紙がきちんと貼り合わされていないと強度が出ない。
この馬が押しつぶされてしまったのは
そこにも一因があるのかも知れないなぁ。

まず、今後の作業を想定し、道具を作成。
ダイソーで売ってるバーベキュー用の竹串を削り
薄く長いヘラと、茶杓の様なヘラを作った。



広範囲を浮き紙を接着させるには
スポイトで糊を流し込むしか無いだろう。
荒療治になるが、仕方無い。

でんぷん糊を少し水で溶き、
ノズル部分が細くて長いスポイトで吸う。


それを紙の浮いた隙間に流し込む。


ノズルを押し込み、可能な限り奥へ流し込む。



それを茶杓の様なヘラで押さえて行く。




この作業を数日掛け、浮き紙部分の接着には何とか成功。
これでやっと本来の補強作業が出来る。

所で、胴体の中を見ると結構凸凹だ。
これは雌型で生地を作った張子の様子。
張子の作成方法には、型の上に紙を貼る雄型と
型の内側に紙を貼る雌型の2種類がある。

雄型は当方を含め、多くの人がやっている技法。
型の上に紙を貼って行く為に尖った部分の再現や
エッジの細かい表現には向いておらず
紙を貼り重ねた時の厚みのムラが表に出てしまうが
だからこその張り子独特の柔らかなフォルムが出来る。
また、紙を貼る作業時間が
雌型に比べると短くて済むので量産に向いている。

雌型は型の内側に紙を貼って行く為に
エッジを活かした細かい表現や、
貼り重ねた紙の厚みによるムラが表に出ない為に
表面をなだらかに仕上げたい物や
大きさを正確に揃えた物を作るのに向いているが、
雄型に比べて紙を貼る手間が掛かるので
伝統張子では殆ど使われていない技法だ。

ただ、群馬県の高崎達磨の様な現代の工場での量産張子では
雌型に液状パルプを流し込んで真空成形をする、と言う
新たな雌型技法が採用されている。
はっきり言って、それは「張子」とは言えない、と思うのだが
「張子」その物が時代遅れの産業技術なのだから
仕方無いだろうなぁ・・・・・・

で、この馬は雌型で生地が作られている様だ。
足・首・胴と部品を別々に作り
後で正確に組み合わせなければならないので
各部品の誤差が出ない様にする為に雌型が採用されたのだろう。
量産品とは言え、高級な品なので
その様な丁寧な作業方法が採られたのだと思われる。

表面の毛の植えてある紙を剥ぐと大きな亀裂が。





内部を見ても亀裂が全身に渡っている。


これは型の継ぎ目だ。
恐らく、胴体を真っ二つに切った状態の雌型があり
半身ずつ生地を作り、それを突き合わせているのだ。

ただ、伝統張子全般に言えるのだが
半身ずつを接合させている、
その合わせ目には接着剤が使われていない。
外側に紙を貼る事だけでくっ付けているのだ。
それでは強度が出ないと思うのだが
それはあまり気にしない様なのだ。
そしてこの馬でもそれは当てはまっている。

元々張子は紙で作られているので
強度に関しては鷹揚と言うか
それ程考えられていない様だ。
実は子供のおもちゃとして製造された張子玩具は
「成長の証」「元気な証」として
子供にそれが壊される事を周りの大人達は喜んだ、と言う話だ。
所詮、紙で作られた物だから
絶対的な強度は必要とされていなかったのだろう。
江戸〜明治時代、張子玩具は
全国各地で大量に生産されていたのだが
当時の作品が現在殆ど残されていないのは、
それが理由の一つでもある様だ。

当時、安くはなかった筈のこの馬でも
その思想は変わらなかったのかも知れない。
この馬が押し潰されてしまったのも
それが遠因にあるのでは無いだろうか。
因みに、当まねき屋の張子は
合わせ目にもきちんと接着剤を使っているので
そうぞご安心下さい(と自慢w)。


さて、全体を補強するには
この合わせ目も対処しなければならない。
なので、木工用ボンドで接着する事に。




伝統工芸品の補修であるからには本来接着剤として
ニカワやでんぷん糊を使うべきなのかも知れない。
数十年後の再修理があった際にその方が作業もしやすい筈だ。
当方達が分解に苦労した様な事は避けるべきかも知れない。
だが、当方は普段使い慣れた素材を使う事を優先させた。
将来あるかどうか判らない、未来の補修の事を考えるより
とにかく今、この馬を徹底的に頑丈に作りたかったのだ。
今後、何があってもそう簡単に潰れたり
分解する事が無いくらいに仕上げたいのだ。

合わせ目が接着出来た所で
平筆で糊を塗り、毛の植えてある紙を貼って行く。




そして内側からの補強作業。
平筆を内部に差し入れ、糊を塗る。



その平筆で、小さく切った和紙を置いて行く。
更に糊を上から塗り、撫で付けて形を馴染ませる。

それを胴体の内側全体に何度も何度も繰り返す。

そして内貼りが完成。




少しずつ貼っては乾かし貼っては乾かし、を
繰り返さなければならなかった為に
全体を貼り終える迄に丸一週間掛かってしまった。
だが、お蔭でかなり丈夫に出来た。
取り敢えず胴体の補修はこれで良いかな。
この方法で今後の作業も何とかなりそうだ。
(続く)

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馬の修理 その1

久しく放ったらかしで申し訳ありません・・・・・・
唐突ですが、昨年夏〜秋にかけてとある作業をしていました。
その事をこれから数回にわたって連載したいと思います。
本文の文体が何時もと多少違いますが深い理由はありません。
連載と言っても不定期なので
長い目でお付き合い頂けましたら幸いです。
画像沢山で長文になりますが
よろしかったらどうぞお読み下さいませ。
m( _ _ )m




昨年の7月のとある日曜の事。
家でダラダラしていた所、突然の来客があった。
慌てて出てみると初対面の方。
何でも、「まねき屋」を探して
わざわざ訪ねて来て頂いた、との事。
早速家に上がって頂き、お話を伺う。

その方は名古屋市内で人形屋をやっていて
3代目の由(→こちら)。
で、張子の馬を修理してほしい、との申し出。
江戸時代作の張り子の馬で
蔵の中で何かに押し潰されてしまった物が持ち込まれ
修理のために預かったのだが
自分は人形屋でも張子は専門外。
そこで名古屋市内の張子の技術者を探すべくweb検索をし、
「まねき屋」を見付けて訪ねて来た、との事。

webでサイトを公開していると
色々な問い合わせを受ける事があるが
こう言うのは初めてだ。
実に興味深い。
だが、張子を生業としている当方だが
他人の、しかも江戸時代の張子の修復などした事がない。
自分に出来るかどうか不安だ。
取りあえずその日は話だけを伺い
後程画像を送って頂く事にした。

それがこちら。

思ったよりリアルな作り。
小道具も丁寧に作ってある様だ。
果たして当方の手に負えるのだろうか。
かなり不安だ・・・・・・


後日、取りあえず人形屋に伺う事に。
実物と初対面。


細部を見ると、結構精巧に作られている。

目はガラス製。
歯は何かの骨?象牙では無いと思うけど不明。
体全体を、撚りを掛けていない生糸(スガ糸)を
染めた物を貼り付けて体毛を表現している。
その手間を想像するだに恐ろしい。
馬具も小さいながら、きちんと作られている。
当時、かなりの値段がしただろうなぁ。

超高級品は胴体を木彫りで作られている筈で
これは張子製なので普及品と言えるのだが
それでもこれだけの細工品だ。
庶民が簡単に買える物では無い。
聞いた所、持ち主は飛騨の老舗の造り酒屋、との事。
恐らく、当時の跡取り息子の節句飾りとして
奮発したのだろう、と想像。

後ろ足に竹ひごが縛り付けてある。

無理矢理立たせる為の応急措置の様だ。
何時の時代かは不明だが、一度修理されていた様子。
ただ、それがかなりいい加減なやり方だ。

更にパーツの各取付け部も浮いてしまっている。



これでは応急措置の効果も殆ど無かっただろうなぁ。


人形の馬道具の専門家の人と待ち合わせ、解体作業に。
まず先に小道具を外す。



 
胴体と首・足はニカワで貼り付けてある様子。
江戸時代の作ならそれは当然だ。
なので、ヤカンで湯を沸かし、
湯気に当てて柔らかくして外す事に。


首は比較的簡単に外れた。




が、脚は接着剤で取り付けてある様で中々外れない。


それを引き剥がす様にして無理矢理外す。



どうやら米粉糊でくっ付けていた様子。
だから蒸気であぶっても外れなかったのか。


後ろ脚は特に頑丈に止めてある様で
中々外す事が出来無い。



継ぎ目を少しずつヘラで広げる。


何とか取り外し成功。


こちらは隙間をおが屑で埋めていたので中々外れなかったのだ。

何だかんだで全て取り外す事が出来た。

見た所、左前足の損傷が特に激しい。
押し潰された事によって
折角貼り合わせた紙の強度を失い
完全にふにゃふにゃになってしまっている。
それを戦前と思われる時期に誰かが修復したのだろう。
足に竹ひごと針金を通し
無理矢理胴体に取り付けていたが
それでも馬を立たせる程の強度を保てなかった様子。

この作業をしたのは張子の技術者ではない。
おが屑を使っていた所を見ると
恐らく木目込み人形の技術を持った人だったのだろう。
自分の専門外の物なのだが
修理を持ち込まれた以上、どうにかしなければならない。
そこで無理矢理何とかして表面を取り繕い
それなりに収めたのだろう。
本当なら自分の手に負えない物なのだが
出来ません、と断る訳には行かないので
とにかく自分の出来る範囲の事をした、と思われる。

だが、あまりにもあんまりなやり方だ。
当時これで「修理が出来ました」と良く言えたもんだよなぁ。
とてもじゃないがプロの仕事とは思えない。
ひょっとしたら修復者は職人では無く
「村の小器用な人」だったのかも知れないなぁ。

そんな状態で修理が上がって来て
その当初は何とか立たせる事が出来たかも知れないが
結局また立たなくなってしまった為に仕舞い込まれ
長い年月放置されてしまった、と思われる。
それを2014年の午年に合わせて
本格的に修理をしようと思い立ったのだろう。
それが巡り巡って当方の所へやって来た、と。
何とも不思議な感じw


各パーツを外した上で、仮組立。

恐らく本来はこんな角度で
取り付けられていたのでは無いだろうか。

このバラした状態で受取り、持ち帰った。
当方に何処まで出来るのか、
取り敢えずやるだけやってみねば……(続く)


馬の修理アーカイブスこちら

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虎まみれ……

来年の干支、虎作りの作業が佳境です。


まさに虎まみれの日々です。

あと一ヶ月余り、体力勝負です……(-_-;)


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