まねき屋の張子blog

まねき屋の張子作業に関するblogです
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馬の修理 その1

久しく放ったらかしで申し訳ありません・・・・・・
唐突ですが、昨年夏〜秋にかけてとある作業をしていました。
その事をこれから数回にわたって連載したいと思います。
本文の文体が何時もと多少違いますが深い理由はありません。
連載と言っても不定期なので
長い目でお付き合い頂けましたら幸いです。
画像沢山で長文になりますが
よろしかったらどうぞお読み下さいませ。
m( _ _ )m




昨年の7月のとある日曜の事。
家でダラダラしていた所、突然の来客があった。
慌てて出てみると初対面の方。
何でも、「まねき屋」を探して
わざわざ訪ねて来て頂いた、との事。
早速家に上がって頂き、お話を伺う。

その方は名古屋市内で人形屋をやっていて
3代目の由(→こちら)。
で、張子の馬を修理してほしい、との申し出。
江戸時代作の張り子の馬で
蔵の中で何かに押し潰されてしまった物が持ち込まれ
修理のために預かったのだが
自分は人形屋でも張子は専門外。
そこで名古屋市内の張子の技術者を探すべくweb検索をし、
「まねき屋」を見付けて訪ねて来た、との事。

webでサイトを公開していると
色々な問い合わせを受ける事があるが
こう言うのは初めてだ。
実に興味深い。
だが、張子を生業としている当方だが
他人の、しかも江戸時代の張子の修復などした事がない。
自分に出来るかどうか不安だ。
取りあえずその日は話だけを伺い
後程画像を送って頂く事にした。

それがこちら。

思ったよりリアルな作り。
小道具も丁寧に作ってある様だ。
果たして当方の手に負えるのだろうか。
かなり不安だ・・・・・・


後日、取りあえず人形屋に伺う事に。
実物と初対面。


細部を見ると、結構精巧に作られている。

目はガラス製。
歯は何かの骨?象牙では無いと思うけど不明。
体全体を、撚りを掛けていない生糸(スガ糸)を
染めた物を貼り付けて体毛を表現している。
その手間を想像するだに恐ろしい。
馬具も小さいながら、きちんと作られている。
当時、かなりの値段がしただろうなぁ。

超高級品は胴体を木彫りで作られている筈で
これは張子製なので普及品と言えるのだが
それでもこれだけの細工品だ。
庶民が簡単に買える物では無い。
聞いた所、持ち主は飛騨の老舗の造り酒屋、との事。
恐らく、当時の跡取り息子の節句飾りとして
奮発したのだろう、と想像。

後ろ足に竹ひごが縛り付けてある。

無理矢理立たせる為の応急措置の様だ。
何時の時代かは不明だが、一度修理されていた様子。
ただ、それがかなりいい加減なやり方だ。

更にパーツの各取付け部も浮いてしまっている。



これでは応急措置の効果も殆ど無かっただろうなぁ。


人形の馬道具の専門家の人と待ち合わせ、解体作業に。
まず先に小道具を外す。



 
胴体と首・足はニカワで貼り付けてある様子。
江戸時代の作ならそれは当然だ。
なので、ヤカンで湯を沸かし、
湯気に当てて柔らかくして外す事に。


首は比較的簡単に外れた。




が、脚は接着剤で取り付けてある様で中々外れない。


それを引き剥がす様にして無理矢理外す。



どうやら米粉糊でくっ付けていた様子。
だから蒸気であぶっても外れなかったのか。


後ろ脚は特に頑丈に止めてある様で
中々外す事が出来無い。



継ぎ目を少しずつヘラで広げる。


何とか取り外し成功。


こちらは隙間をおが屑で埋めていたので中々外れなかったのだ。

何だかんだで全て取り外す事が出来た。

見た所、左前足の損傷が特に激しい。
押し潰された事によって
折角貼り合わせた紙の強度を失い
完全にふにゃふにゃになってしまっている。
それを戦前と思われる時期に誰かが修復したのだろう。
足に竹ひごと針金を通し
無理矢理胴体に取り付けていたが
それでも馬を立たせる程の強度を保てなかった様子。

この作業をしたのは張子の技術者ではない。
おが屑を使っていた所を見ると
恐らく木目込み人形の技術を持った人だったのだろう。
自分の専門外の物なのだが
修理を持ち込まれた以上、どうにかしなければならない。
そこで無理矢理何とかして表面を取り繕い
それなりに収めたのだろう。
本当なら自分の手に負えない物なのだが
出来ません、と断る訳には行かないので
とにかく自分の出来る範囲の事をした、と思われる。

だが、あまりにもあんまりなやり方だ。
当時これで「修理が出来ました」と良く言えたもんだよなぁ。
とてもじゃないがプロの仕事とは思えない。
ひょっとしたら修復者は職人では無く
「村の小器用な人」だったのかも知れないなぁ。

そんな状態で修理が上がって来て
その当初は何とか立たせる事が出来たかも知れないが
結局また立たなくなってしまった為に仕舞い込まれ
長い年月放置されてしまった、と思われる。
それを2014年の午年に合わせて
本格的に修理をしようと思い立ったのだろう。
それが巡り巡って当方の所へやって来た、と。
何とも不思議な感じw


各パーツを外した上で、仮組立。

恐らく本来はこんな角度で
取り付けられていたのでは無いだろうか。

このバラした状態で受取り、持ち帰った。
当方に何処まで出来るのか、
取り敢えずやるだけやってみねば……(続く)


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この記事に対するコメント

先生 ご無沙汰しております。
久し振りに先生のブログにはいったら、
大変な仕事をお受けになりましたね。
次回がとても楽しみです。
しかし、そのお馬さんは張子にみえませんね。
ほんとうにお高いものだったのでしょうねえ。
早くアップしてください。
ぽこまむ | 2014/05/29 9:01 PM

>>ぽこまむさん
ご無沙汰しております。
ご来訪頂きまして有難う御座居ました。

続きは友人や知り合いとかからも催促されてまして……
なるべく早くにUP致しますです……

m( _ _;)m
まねき屋 | 2014/06/03 10:59 PM
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